2016年12月アーカイブ

2016年12月30日

Casca Iで夜の難波を撮る

Osaka #10 by Hiro _R on 500px.com


Casca I
Steinheil Munchen Culminar 50mm f/2.8
50mm/f/2.8
1/25s/ISO 125
Film: Ilford FP4 Plus 125


やっと「Casca I」というカメラでの撮影と現像に漕ぎつけました。南海の難波駅付近と心斎橋の商店街などを撮影してきました。ファインダーが小さく見にくいカメラですが,「Culminar 50mm f/2.8」というレンズの写りはなかなかいいことが分かりました。さすが老舗レンズメーカーのシュタインハイル社のレンズだと感じます。ちょっと暗すぎるかもしれないと思いましたが,Ilford FP4 Plus 125フィルムの柔らかな階調にも助けられて黒潰れせずに写っていました。また、夜の照明の光も淡くほんのり写りました。


ところで,以前このカメラのフィルムの巻き戻し方法が分からず,その後色々と調べていました。Casca Iというカメラはフィルムを送るダイヤルと巻き戻しのダイヤルが同じです。巻き戻しの際はこのダイヤルを上に引き上げると巻き戻せると思っていました。購入した際もそのような説明を受けました。


Casca1の巻き戻し用ボタン


しかし,それだけでは巻き戻せませんでした。ダイヤルの横にある飾りと思っていたボタンが実は重要でした。二枚目の写真のシャッターボタン横にある青色で囲った黒い平らなボタンです。その下に矢印があり,初めは意味が分からなかったのですが,その後この方向に平らな黒ボタンを力を入れて押していくと,シャッターボタンが降りたままになることが分かりました。


シャッターボタンを降ろしたままにして,巻き戻しダイヤルを引き上げて回していくと,フィルムが巻き上がりました。そしてやっと現像に出せたといういきさつでした。取説もない,マイナーなカメラなので細部まで操作方法が分かりにくいのが難点でした。


Casca 1にフィルムを入れたところ


最後の写真はフィルムを入れたところです。当時のカメラとしては珍しく,弁当箱のように上下にカメラの裏蓋が開きます。ライカのように底蓋を開いてフィルムを入れる方法とは全く異なります。Casca Iはフィルム自体は填め込みやすいのですが,スプロールの溝にフィルムを入れてフィルム送りをする際は空回りしてしまいなかなかうまくいきません。最近何本かフィルムで撮るようになってようやく慣れてきましたが,最初はフィルム送りも大変でした。厄介なカメラです。当時あまり売れなかったのもよく分かるような気がします。

2016年12月16日

モノクロであべのハルカスを撮る

Osaka #4 by Hiro _R on 500px.com


Leica M8
Steinheil Munchen Culminar 135mm f/4.5
135mm/f/9.5
1/1000s/ISO 320/DNG
Processing with Photoshop CC/ Nik Silver Efex Pro2


今回はあべのハルカスをモノクロ写真にしました。側面の反射の幻想的な感じを表現しました。太陽光が少しきつくなってきたので,シャッタースピードを1000分の1にしています。絞りはF値9.5です。


ビルを写すときは,雲のガラス面への反射に注意しています。煙が立ち込めているかのようなこのシーンは,とても印象に残りました。以前撮影した梅田のグランフロントの時よりもより鮮明に窓側にリフレクションが写り込んでいました。RAWファイルからPhotoshop CCで現像し,Nik Silver Efex Pro2のハイコントラストなフィルタを使いました。Culminar 135mm f/4.5レンズの絞った時の柔らかな写りもとてもいいと思います。

2016年12月11日

Leica M8で不退寺の南天を撮る

Nara #6 by Hiro _R on 500px.com


Leica M8
Steinheil Munchen Culminar 135mm f/4.5(Screw Mount)
135mm/f/8.0
1/125s/ISO 640/DNG
Processing with Photoshop CC


雨の不退寺,最後の写真です。今回は南天を撮りました。雨の反射と深い赤のイメージが印象的なのと日本的な侘び寂びを感じました。Culminar 135mm f/4.5レンズの落ち着いた色合いもとてもいいと感じました。この南天は不退寺内にある石棺の近くに咲いているものです。この石棺は長さ2.7メートルで,ウワナベ古墳の南側にあった平塚古墳の石棺です。誰が葬られたのかとても気になる神秘的な石棺です。この不退寺の付近にはいくつもの大きな古墳が存在します。この辺りはかつては佐保路と呼ばれ,万葉大和路の雰囲気を残しています。


南天を見ると私は本格的な冬の到来を感じます。もう師走。いよいよ年の瀬も近づいてきました。一年の総決算です。今年は何ができたのか,色々と考え込んでしまうこの頃です。

2016年12月 5日

Culminar 135mm f/4.5レンズの描写は秀逸

Nara #4 by Hiro _R on 500px.com


Leica M8
Steinheil Munchen Culminar 135mm f/4.5(Screw Mount)
135mm/f/6.7
1/125s/ISO 640/DNG
Processing with Photoshop CC


不退寺の紅葉jpeg版


今回の記事も不退寺での紅葉を「Culminar 135mm f/4.5」で撮った写真の一つです。このレンズの柔らかな写りは何とも言えない良さがあります。雨の日の薄暗い雰囲気をそのままに低めのコントラストで表現できます。写真はRAWファイルをPhotoshop CCで現像しています。500pxに投稿しました。二枚目の写真がJpeg版の写真です。RAW現像の過程で紅葉の色合いを少し明るめにしました。


Leica M8と「Culminar 135mm f/4.5」の相性はとてもいいと感じます。今回の写真でも特に緑色の表現が気に入っています。今回は背景が暗めの深い緑色ですが,潰れずによく残っています。手前の紅葉の雨に濡れた質感もカルミナーレンズの優秀さとマッチして空気感が漂っている気がします。この「Culminar 135mm f/4.5」レンズは,あまり知られていないと思いますが,私は以前「クラシックカメラ専科」という古い雑誌を眺めていた時に,写真家の大竹省二さんが,このレンズのポートレイトでの良さを語っている記事を読み,その存在を知りました。雑誌に載っていた女性のモノクロのポートレイト作品がとても艶やかで柔らかい作品でした。その印象もあって,是非ともこのレンズを使ってみたいと思っていました。


ポートレイトはほとんど撮ったことがないので,実際にどうやってこのレンズを使おうか迷っていたところ,Leica M8の焦点距離が1.33倍であることを利用して,紅葉など花を撮る望遠レンズとしての使い方を思いつきました。今回の不退寺での撮影はあいにくの雨でしたが,かえってこのレンズの地味で柔らかい自然なトーンがいきているような気がします。

2016年12月 4日

Casca Iを使ってみて

Casca Type1を使ってみる


少し前に中古カメラ屋を回っていて見つけた「Casca I」というカメラ。美品ではありませんでしたが使用には問題がなく,以前から興味があったカメラだったので購入しました。前回の記事で紹介した「Steinheil Munchen Culminar 135mm f/4.5」というレンズを作っている同じ会社のカメラです。


シュタインハイル社の歴史は,1855年,ミュンヘンにシュタインハイル光学設立所を設立したところから始まります。設立者は,フーゴ・アドルフ・シュタインハイルとその父カール・アウグスト・フォン・シュタインハイルでした。息子のフーゴは光学の研究を専門とし,友人のフォン・ザイデルとともに1866年にアプラナート(Aplanat)とよばれる非常に優れたレンズを開発しました。このタイプのレンズは撮影距離の変化に対する収差変動が少ないので,歪曲収差がほとんどないという優れた特色を持っていました。そのため,世界各国で半世紀以上にわたり多くのカメラに装着された大ヒットレンズとなりました。3代目のルドルフ・シュタインハイルも優秀なレンズ設計者であり,28歳で社長となり,有名なオルソスチグマット(Orthostigmat)などのレンズを開発しました。


こういった歴史を鑑みると,シュタインハイル社は相当優秀なレンズメーカーであることがわかります。戦前からライカのファインダーも作っていました。一方で,カメラの開発にも乗り出していましたが,レンジファインダーカメラは二機種しか発売しませんでした。その一つが写真の「Casca I」(1948年)です。その後「Casca 2」(1949年)が発売されています。カスカ 1は距離計を除いた普及版のようなカメラとして販売されました。


カスカとは,C.A.Steinheil Cameraの頭文字を繋げてできた造語です。C.A.Steinheilとは,設立者の一人「カール・アウグスト・フォン・シュタインハイル」のことのようです。このカメラは第二次世界大戦後間もない1948年に登場したフォーカルプレーン式シャッターを備えた全金属製の35mm判カメラです。このカスカ1型のレンズは「Culminar 50mm f/2.8」のみで,交換ができません。私が使っている「Culminar 135mm f/4.5」レンズは,カスカ2型のカメラで交換レンズの一つとして発売されています。


カメラ前部のレンズの隣にある大きな丸いノブを回してピントを合わせを行うというかなり変わったデザインとなっていますが,距離計が省かれているので,私が以前よく使っていたLeica M1と同じ感覚です。つまり無限遠を基本として,それ以外は大体の目測でノブを回しながら距離感をつかむという勘の世界です。レンズにはメートル表示の距離が刻まれているので,今回は撮影するにあたり,この表示を目安にしました。


Casca type1の裏側


三枚目の写真はカメラの裏側です。シャッタースピードの調整がユニークです。スライド式になっていて動かしやすいのですが,反面,カメラバッグに入れていたら,いつの間にか動いていて困りました。特に1/1000秒,1/500秒,1/250秒のシャッタースピードの位置が大変狭く,よく見ないと位置がズレてしまいそうでした。一回一回位置をきちんと確認しないといけません。


Casca1のシャッタースピード


Shutter speed selector slide(Casca 1)


フィルムを送るダイヤルと巻き戻しのダイヤルが同じという部分も大きな特色です。ライカのM型やバルナック型では,送る側と,巻き戻し側は左右別になっています。これは便利と思いきや,撮影し終わった後に,巻き戻しをしようとしたらできませんでした。何か引っかかる感じがして動きませんでした。いきなりトラブルです...。使用方法は中古カメラ屋で聞いたのですが,同じダイヤルという構造が,どうも私には使いにくくて困ってしまいました。また書籍やカメラ屋で聞いたりして,巻き戻し方を調べてみます。「Casca I」についての続編はまた記事を書きます。


参考記事:「The CASCA cameras of 1948-49
参考書籍:「世界ヴィンテージ・カメラ大全